はじめに

Claude Code v2.1.84 および v2.1.85 がリリースされました。v2.1.84では、Windows環境でのPowerShellツール(opt-inプレビュー)、Bedrock/Vertex AI向けの環境変数による詳細なモデル制御、フック機能の拡張が主な変更点です。v2.1.85ではフック条件フィルタの追加やMCP OAuth改善など、運用品質の向上が図られています。

注目アップデート深掘り

PowerShell ツール(opt-in プレビュー)

v2.1.84で最も注目すべき新機能が、Windows向けPowerShellツールのopt-inプレビューです。従来のClaude CodeはBashツールのみでLinux/macOS環境が前提でしたが、PowerShellツールの追加によりWindows Server環境でも直接コマンド実行が可能になります。

有効化方法

PowerShellツールはopt-inのため、明示的に有効化が必要です:

{
  "permissions": {
    "allow": ["PowerShell"]
  }
}

PowerShellツールとは? Claude CodeがWindows環境でPowerShellコマンドを直接実行できるようにする新しいツールです。Bashツールと同様の位置づけで、ファイル操作、プロセス管理、Azure CLI呼び出しなどが可能になります。

Windows ServerでIaCを管理しているチームや、Azure環境との連携が必要なSREにとって、これまでWSL経由で行っていた作業をネイティブなPowerShellで実行できるようになる点が大きなメリットです。

詳細: https://code.claude.com/docs/en/tools-reference#powershell-tool

3Pモデル制御の環境変数拡張

Bedrock、Vertex AI、Foundry経由でClaude Codeを利用している企業向けに、モデル制御の環境変数が大幅に拡張されました。

# デフォルトモデルの能力検出をオーバーライド
$ export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL_SUPPORTS="effort,thinking"
$ export ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL_SUPPORTS="effort,thinking"

# /model ピッカーのラベルをカスタマイズ
$ export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL_NAME="Claude Opus (Bedrock)"
$ export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL_DESCRIPTION="us-east-1 endpoint"

3Pプロバイダー経由ではモデルのバージョンがピン留めされることがあり、能力検出が正しく動作しないケースがありました。これらの環境変数により、effort(推論コスト制御)やthinking(拡張思考)の対応状況を明示的に指定できるようになります。

Hooks の条件フィルタ(v2.1.85)

フック条件フィルタ Before/After

v2.1.85で追加されたifフィールドにより、フックの発火条件をパーミッションルール構文で指定できるようになりました。

{
  "hooks": {
    "PreToolUse": [
      {
        "matcher": "Bash",
        "if": "Bash(git *)",
        "command": "echo 'git command detected'"
      }
    ]
  }
}

従来はmatcherでツール名を指定するだけでしたが、ifフィールドでBash(git *)のように引数パターンまで絞り込めるようになりました。全てのBash実行でフックプロセスが起動されていた状況が改善され、プロセス生成のオーバーヘッドを大幅に削減できます。

実用的な活用ポイント

ストリーミングタイムアウトの調整: CLAUDE_STREAM_IDLE_TIMEOUT_MS環境変数(デフォルト90秒)で、ストリーミングのアイドル監視閾値を設定できます。ネットワークが不安定な環境や、レスポンスが遅い3Pプロバイダー利用時に値を大きくすることで、不要な切断を防げます。

リクエストIDによるデバッグ: APIリクエストにx-client-request-idヘッダーが付与されるようになりました。タイムアウトやエラー発生時にAnthropicサポートへ共有することで、問題の特定が格段に容易になります。

バックグラウンドタスクの通知: Bashのバックグラウンドタスクが対話プロンプトで停止している場合、約45秒後に通知が表示されるようになりました。sudo待ちなどでタスクが固まっている状況を早期に検知できます。

MCP説明文の2KB制限: MCPツールの説明文とサーバー指示が2KBにキャップされました。OpenAPI生成されたMCPサーバーがコンテキストを圧迫する問題が解消されます。

全変更点一覧

カテゴリ変更内容概要
FeaturePowerShell ツール(v2.1.84)Windows向け opt-in プレビュー
Feature3Pモデル制御環境変数(v2.1.84)ANTHROPIC_DEFAULT_{OPUS,SONNET,HAIKU}_MODEL_SUPPORTS/NAME/DESCRIPTION
FeatureCLAUDE_STREAM_IDLE_TIMEOUT_MS(v2.1.84)ストリーミングアイドル監視の閾値設定
FeatureTaskCreated フック(v2.1.84)タスク作成時に発火するフックイベント
FeatureWorktreeCreate HTTP フック(v2.1.84)ワークツリー作成時にHTTPフック対応
FeatureallowedChannelPlugins(v2.1.84)管理者向けチャンネルプラグイン許可リスト
Featureフック条件フィルタ if(v2.1.85)パーミッションルール構文でフック発火条件を制御
FeatureMCPサーバー環境変数(v2.1.85)CLAUDE_CODE_MCP_SERVER_NAME/URL を headersHelper に提供
Improvementx-client-request-id ヘッダーAPIリクエストのデバッグ追跡
ImprovementMCP説明文 2KB キャップコンテキスト圧迫防止
Improvementディープリンクのターミナル選択優先ターミナルで開くように改善
ImprovementRules/Skills paths: YAML対応glob のYAMLリスト形式をサポート
FixIME入力(CJK)のインライン描画日本語入力がカーソル位置に正しく表示
FixmacOS キーチェーン一時エラー“Not logged in” 誤表示を修正
FixPartial clone リポジトリ起動性能Scalar/GVFS での大量blob ダウンロード回避
Fix/compact のコンテキスト超過大規模会話でのコンパクト失敗を修正(v2.1.85)
FixMCP OAuth スコープ再認可リフレッシュトークン存在時の昇格フロー修正(v2.1.85)

まとめ

v2.1.84/v2.1.85は「マルチプラットフォーム対応」と「運用精度の向上」が2大テーマです。PowerShellツールによるWindows対応、3Pモデル制御環境変数によるBedrock/Vertex AI環境でのカスタマイズ性向上は、企業環境でのClaude Code活用範囲を広げます。

v2.1.85のフック条件フィルタ(ifフィールド)は、PreToolUseフックを多用しているユーザーにとって大きな改善です。不要なプロセス生成を削減し、フックのパフォーマンスオーバーヘッドを最小化できます。

バグ修正面では、日本語入力(IME)のインライン描画修正やmacOSキーチェーンの一時エラー対応など、日常的な使用感を改善する修正が多く含まれています。