
はじめに
Claude Code v2.1.86 がリリースされました。今回は新機能よりもバグ修正と安定性改善が中心のリリースです。注目すべき改善として、APIリクエストへの X-Claude-Code-Session-Id ヘッダー追加、Read ツールのトークン使用量削減、Bedrock/Vertex/Foundry のプロンプトキャッシュヒット率改善があります。また、--resume の致命的なバグ修正やOOM対策など、日常的な使用感に直結する修正が多数含まれています。
注目アップデート深掘り
Session ID ヘッダーでプロキシのセッション集約が可能に
APIリクエストに X-Claude-Code-Session-Id ヘッダーが追加されました。これにより、企業環境でClaude Code のトラフィックをプロキシ経由で管理している場合、リクエストボディをパースすることなくセッション単位でリクエストを集約・監視できるようになります。
SRE業務への影響
API Gateway やリバースプロキシでClaude Codeのトラフィックを管理している企業では、このヘッダーを使って:
- セッション単位のトークン使用量を集計
- 特定セッションのリクエストをログから追跡
- チーム別・プロジェクト別のコスト配分
# プロキシログからセッション別のリクエスト数を集計する例
$ grep "X-Claude-Code-Session-Id" /var/log/proxy/access.log \
| awk -F'"' '{print $2}' | sort | uniq -c | sort -rn
Read ツールのトークン使用量を大幅削減

Read ツールに2つの最適化が入りました:
- コンパクト行番号フォーマット: 行番号の表示形式を最適化し、トークン消費を削減
- 重複再読み取りの重複排除: 同じファイルを変更なしに再度読んだ場合、重複コンテンツを省略
大量のファイルを読む作業(コードレビュー、リファクタリング等)でのトークン効率が改善されます。@ によるファイルメンション時もJSON エスケープが不要になり、rawな文字列としてコンテンツが渡されるようになりました。
Bedrock/Vertex/Foundry のキャッシュヒット率改善
3Pプロバイダー(Bedrock、Vertex AI、Foundry)利用者向けに、ツール説明文から動的コンテンツを除去することでプロンプトキャッシュのヒット率が改善されました。
プロンプトキャッシュとは? APIリクエストのプロンプト部分が前回と同一の場合、キャッシュされた結果を再利用する仕組みです。キャッシュヒット時はレイテンシーが短縮され、一部プロバイダーではコスト削減にもなります。ツール説明文に動的な値が含まれるとキャッシュが無効化されていた問題が解消されました。
実用的な活用ポイント
–resume の安定性向上: v2.1.85より前のセッションを --resume で再開すると「tool_use ids were found without tool_result blocks」エラーで失敗するバグが修正されました。長期セッションの再開が安定して動作するようになります。
外部ファイルの Read/Write/Edit 修正: 条件付きスキルやルールが設定されている環境で、プロジェクトルート外のファイル(~/.claude/CLAUDE.md 等)の読み書きが失敗するバグが修正されました。
OOM 対策: /feedback を非常に長いセッション(大量のトランスクリプト)で使用するとメモリ不足でクラッシュする問題が修正されました。また、長時間セッションでのマークダウン/ハイライトレンダーキャッシュによるメモリ増加も修正されています。
macOS キーチェーンキャッシュ延長: MCP コネクタが多数設定されている場合の起動時イベントループ停滞が改善されました(キャッシュ: 5秒→30秒)。
OAuth URL コピー修正: c ショートカットでOAuthログインURLをコピーする際、先頭約20文字しかコピーされないバグが修正されました。
全変更点一覧
| カテゴリ | 変更内容 | 概要 |
|---|---|---|
| Feature | X-Claude-Code-Session-Id ヘッダー | プロキシでのセッション集約用 |
| Feature | .jj / .sl VCS除外 | Jujutsu / Sapling メタデータを除外 |
| Improvement | Read ツールのトークン削減 | コンパクト行番号 + 重複再読み取り排除 |
| Improvement | @ メンションのトークン削減 | raw文字列化(JSON エスケープ不要に) |
| Improvement | 3Pプロバイダーキャッシュ改善 | ツール説明文から動的コンテンツを除去 |
| Improvement | macOS キーチェーンキャッシュ | 5秒→30秒に延長(MCP多数時の起動改善) |
| Improvement | /skills 表示最適化 | 説明文250文字キャップ + アルファベット順 |
| Fix | --resume エラー修正 | v2.1.85以前のセッション再開が可能に |
| Fix | Write/Edit/Read 外部ファイル修正 | 条件付きスキル設定時のプロジェクト外ファイル対応 |
| Fix | /feedback OOM 修正 | 大量トランスクリプトでのメモリ不足対策 |
| Fix | OAuth URL コピー修正 | c ショートカットで全URLコピー可能に |
| Fix | OAuth トークンマスク漏洩修正 | 狭端末での行折り返し時のトークン先頭漏洩を防止 |
| Fix | プラグインスクリプト権限修正 | macOS/Linux で v2.1.83 以降の Permission denied を修正 |
| Fix | ステータスライン誤表示修正 | 複数インスタンス時の /model 表示を修正 |
| Fix | --bare モード MCP修正 | インタラクティブセッションでのMCPツール欠落を修正 |
| Fix | メモリリーク修正 | マークダウン/ハイライトキャッシュの文字列保持を解消 |
| Fix (VSCode) | “Not responding” 誤表示 | 長時間操作中の誤検知を修正 |
| Fix (VSCode) | OAuthリフレッシュ後のモデル | Max planユーザーのSonnetフォールバックを修正 |
まとめ
v2.1.86は安定性・パフォーマンス改善にフォーカスしたリリースです。新機能は X-Claude-Code-Session-Id ヘッダーと Jujutsu/Sapling VCS除外のみですが、日常的な使用感に直結するバグ修正が豊富です。
特に --resume の修正、外部ファイル操作の修正、OOM対策は、長期セッションやカスタム設定を活用しているユーザーにとって重要な改善です。Read ツールのトークン削減と3Pプロバイダーのキャッシュ改善は、コスト効率の向上にも寄与します。
VSCode拡張の修正(“Not responding"誤表示、OAuthリフレッシュ後のモデルフォールバック)もあり、IDE経由で利用しているユーザーの体験も改善されています。